幻想伝承の冊子イラストの謎(解決編)

極々一部の東方勢の間で長年の謎だった、「幻想伝承」冊子イラストの作者が判明したので、その経緯をまとめました。

幻想伝承とは

2007年に一橋大学で開催された、博麗神主(ZUN)の講演会です。
時代は風神録が頒布され、ニコニコ新規参入で人口爆発が始まった頃で、入場券の抽選はそこそこ苛烈(要出典)をきわめ、神主スレで当選報告したのが自分ともう一人くらいしかいなかった記憶があります。

なお、概要およびレポートは以下リンクより確認可能です。
幻想伝承~創作の継承と終着~」(キャッシュ)

ここで、入場者に配られた冊子があります。
densyou
内容こそ、東方Projectの紹介やプレイ日記など、公式設定に関わるようなことは書かれていませんが、ただ唯一、この表紙を描いたのは誰なのか、という謎がずっと気になっていました。

会場に張られていたビラ(PDF)を見ると、watata13という名前が見えるものの、当時から今に至るまで、検索しても見つからず、その正体は不明のままでした。

古文書会

そんな状況が11年続いた中、先週(18/06/01)、古文書会なる催しが開かれました。
簡単に言うと、東方の古い同人誌を持ち寄って読んだり交流したりすることを目的とした会です。詳しいことは以下リンク先を参照ください。

東方古文書読み聞かせ会( #東方古文書会 )当日参加者の記録、及び開催後の反応と補足 – Togetter

そこで、私はきまぐれで、例の幻想伝承冊子を持ち込みました。
すると、当日参加されていたBlue_Blackさんが、「この絵に見覚えがある」と仰いました。

翌日、改めて連絡をいただいたところ、作者本人に確認が取れ、「確かに自分が描いたものだ」と回答が得られました。
作者は、旧名watata13ことカントンさん。Blue_Blackさんと共にサークル「アルドール縮合」で活動中で、今年の例大祭にも参加されているとのことでした。

ここで何より驚くべきは、描いたご本人が冊子の存在を知らなかったということです。
詳しい経緯を(Blue_Blackさん経由で)伺ったところ、どうやら以下のような流れだったようです。

一橋大学の誰かから、別大学の漫研の知人を経由して、その知人氏と同じ漫研に所属するカントンさんが依頼を受ける。
※この際、「何かのイベント企画で使うから」とのみ聞かれており、大学のイベントであることさえご存じなかったそうです。
そして、何に使われるのか分からないままイラストを同大学の漫研の知人へ納品、そしておそらく一橋大学へ送られたはずです。(なお、納品後の報告は何ももらっていないとのことです。)
余談ですが、カントンさんの所属する大学は一橋から遠く離れたところにあり、インターネットを介さないネットワークでも全国レベルに東方が広がっていた一例としても、記憶に値する事実なのではないかと思います。

というわけで、なんと作者は一橋大の関係者ではなかったという驚愕の事実と、そして現在も東方で活動されているという、嬉しい驚きがありました。
Blue_Blackさんは、当時イラストを描いている様子を真横で見ていたということでしたので、今回冊子を見たときの驚きは想像に難くありません。なんとなく持って行った冊子が、まさか10年来の謎を解明することになるとは思っていなかったので、Blue_Blackさんから連絡を戴いたときは興奮するばかりでした。

以上、ちょっとだけ歴史を感じさせる出来事があったことを報告いたします。

追記と宣伝

冊子を持って行っただけの私がこんな歴史的(?)な瞬間に立ち会えたのも、古文書会のおかげです。
主催のにしかわさんありがとうございました!

この記事をシェアする

関連記事

  1. 2017.12.23

    C93新刊

コメントをお待ちしております

ページ上部へ戻る