……とは言わないので、タイトルだけ読んで脊髄反射しないでください。
以下本旨。
自分の観測範囲では、「盗作」つまり人様の作品を自分の物だと偽る行為に対しては厳しく糾弾する人が多い一方で、「(無断)転載」する人に対しては甘いというか、日常的に無断転載をしている人が多いな、と思えるこの頃です。
2chやふたば、最近ではLineのスタンプ文化の隆盛もあって、転載という行為に対して罪の意識がない、あるいは悪いことだと思っていない人が増えているのではないか、そう思ってこんな記事を書いてみた次第です。
著作権法には「引用」という、人様の著作物を許可なく持ち出してよい権利が存在します。
しかし、周りをみているとどうやら「引用」を都合良く解釈し、何をしてもよいと考えている人が少なくないのでは、と思えてなりません。引用というのは、以下の条件(法律用語では「要件」と言います)を満たしたときにのみ認められるもので、無条件に人の著作物を使って良い権利ではないのです。
前提
・引用に許可は不要
・引用されることを拒否することはできない
→たまに、「無断引用禁止」と書いてある文をみることがありますが、引用は禁止することができません。主張できるのは「無断転載禁止」です。
要件1.出典が明記されていること
A:「著者名」、「書名(巻数)」、「ページ数」、「発行年月日」
あるいは
B:「URL」「引用した日付」
(※判例から導き出された要件なので、正確な定義は存在しません)
要件2.引用する必要性があること
これは一口に判定しがたいので、考えられる一例を挙げてみます。
○:キャラクターイラストの表情について評論する場合
○:イラストのグラデーションについて言及する場合
×:感動したのでシェアしたい場合
×:イラストの特定の部分が好みだったので紹介したい場合
要件3.自説が「主」、引用部分が「従」となっていること
引用は、自分の考えを補完するためにのみ行えるので、引用部分の方がメインコンテンツになってはいけないということです。
「ワロタ」の一言だけ添えても引用にはなりません。
また、例えば先述の例ですが、キャラクターの表情を論ずるために漫画の単行本1冊分をまるごと引用したらアウト、といった感じです。
要件4.引用部分が明確であること(枠で囲ったり強調したりしなければならない)
要件5.公表されたものであること(発売前の早売り雑誌を引用してはいけません)
以下、
細かい要件省略。
……ざっくばらんに書きましたが、本当はもう少し厳格なルールがあります。
詳しくは以下の記事が詳しいので、参考までに。
転載、引用、盗用 区別のつかない人が意外に多い(最終防衛ライン3)
引用の要件については、理解していないニュースサイトが多いのも誤解を広める原因になっているような気がします。
まとめサイトが書いている「引用」は、ほぼ「転載」の誤用です。
中の人に直接言えるなら言って回りたいくらいです。
とにかく、
「引用」を免罪符に好き勝手やってる人、「引用」の定義を誤解していた人がいたら認識を改めてもらえれば幸いです。
最後に。
これは、主にクリエイター(同人作家・web発表者を含む)に問いたいのですが
(あるいは、普段は著作権に厳しいはてな民が大喜利Togetterをブクマしてる場合も……)
Twitter上でコラ画像を作ったり、画像大喜利に参加したり、画像リプライに興じたりしている作家を多く見かけます。
そういう方々は、自分の作品が転載されても怒らないのでしょうか。覚悟の上でやっているならいいんですが、もしそうでないなら、無断転載して遊ぶのは止めた方がいいんじゃないかなーと思う次第です。
こんなに長ったらしく前置きしてまで言うのは、直接言うと角が立つというのもありますが、自分が好きな作家の人達が無自覚に悪いことしているのを見ているのがつらいからであって、糾弾したり軽蔑したりする気持ちはまったくありません。
もしよければ、考えを改めるきっかけになってもらえればうれしいです。
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